【相田みつを】
相田みつを
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 諦念 なんでもいいんだ ともかく一所懸命やって みることだ いのちがけでやってみることだ そうすれば 人間の 不完全そが よくわかる 自分の至らなさ よくわかる 骨身にしみて よくわかる 頭でなく からだ全体で よくわかる 諦念の世界は そこから ひろがってくる 手をあわせずには いられない 諦念の世界が
 安心 かねも名誉も地位財産も じぶんの外側に なんにも求めないときを ほんとうの安心という そういうおまえさん自身に 安心があるか
よくまわっているほどコマはしずかなんだな
べんかいのうまい人間 あやまりッぷりのいい人間
おだてられればいい気になるし わるくちいわれりゃ腹たつわたし
 道 歩くから道になる 歩かなければ草が生える
アノネひとのことじゃないんだよ じぶんのことだよ
枯れたすすきがまだ美しいのは いのちいっぱい一生けんめいに 生きてきたからだ
 いのち アノネにんげんはねぇ 自分の意志で この世に産まれてきたわけじゃねんだな だからね 自分の意志で勝手に死んではいけねんだよ
 ある自分へ おまえさんないま一体何が一番欲しい あれもこれもじゃだめだよ いのちがけでほしいものを ただ一ツに的をしぼって言ってみな
体験してはじめて身につくんだなぁ
自身はなくてうぬぼればかり はずかしいはずかしい
ほんとうのことがいちばんいい
むりをしないでなまけない わたしは弱い人間だから
なんにも欲しがらぬときが一番強い
おたがいになぁ不完全欠点だらけのにんげんですがね
やりなおしがきかねんだなぁ人生というものは
うそはいわない人にこびない人のかげぐちはいわぬ わたしにできぬことばかり
セトモノとセトモノと ぶつかりっこすると すぐこわれちゃう どっちかやわらかければ だいじょうぶ やわらかいこころを持ちましょう
どんなぐちでも気持ちよく聞いてくれる人 その人はあなたにとって大事な観音さまだ
使ったところが強くなる頭でもからだでも その反対使わぬところは
 道は一本 単純でまッ直ぐがいい 何かを欲しがると欲しがったところが曲がる 道は一本まっすぐがいい
気が小さくて臆病でひとのいうこと気になって 三日もねむれぬこともある
人間はねぇ 自分よりも人のほうがよくなると おもしろくねんだなぁ 人間のわたし
人の為(ため)と書いていつわり(偽)と読むんだねぇ
どんな仕事でも徹すればかならず生きられるものです
 待つ 待ってもむだなことがある 待ってもだめなこともある 待ってもむなしきことばかり それでもわたしはじっと待つ
他人の物指し自分のものさし それぞれ寸法がちがうんだな
そのうちそのうちべんかいしながら日がくれる
 べんかい あのねぇどんなに上手なべんかいをしてもねべんかいはやっぱり べんかいなんだよなぁ
人里はなれた谷間の白百合の花は 誰にも見てもらえないのですが 少しのかけ引きもなく 精一杯の美しさで咲いています
 黙 いまはなんにもいわないほうがいい 語らないほうがいい つらいだろうが 黙っているほうがいい いえばべんかいになるから
 七転八倒 つまづいたり ころんだりするほうが 自然なんだな にんげんだもの
だれにだってあるんだよ ひとにはいえないくるしみが だれにだってあるんだよ ひとにはいえないかなしみが ただだまっているだけなんだよ いえばぐちになるから
その時の出逢いが 人生を根底から変える事がある よき出逢いを
つまずいたっていいじゃないか にんげんだもの
やれなかったやらなかった どっちかな
 子供へ一首 どのような道をどように歩くとも いのちいっぱいに 生きればいいぞ
弱きもの人間 欲ふかきものにんげん 偽り多きものにんげん そして人間のわたし
くるしいことだってあるさ 人間だもの まようときだってあるさ 凡夫だもの あやまちだってあるよ おれだもの
 この花はおれが咲かせたんだ 土の中の肥料はそんな 自己顕示をしない おれのような
一番わかっているようで 一番わからぬ この自分
うそはいわないこころに きめてうそをいう
名もない草も実をつける いのちいっぱいに 自分の花を
生きているうち はたらけるうち咲かせて 日の暮れぬうち
なまけると こころがむなしい 一生懸命になると 自分の非力が よくわかる
かんがえてばかりいると そのままで 日がくれちゃうよいいがな
途中にいるから中ぶらりん 底まで落ちて地に足が着けば ほんとうに落ち着く
いまからここから
なやみはつきないなあ 生きているんだもの
ひとの世の幸か不幸は 人と人とが逢うことからはじまる よき出逢いを
自分が自分にならないで だれが自分になる
なみだで洗われたまなこは きよらかでふかい
だれうらやむことはない みから出たさびだなあ
あなたの心がきれいだから なんでもきれいに 見えるんだなあ
べんかいのうまい人間 あやまりっぷりの いい人間
かげぐちを いわれることを 知りながら ほめられれば すぐのぼせるわたし
あんなにしてやったのに 『のに』がつくとぐちが出る 親切という名のおせっかい そっとしておくおもいやり
そんかとくか 人間のものさし うそかまことか 仏さまのものさし
浄玻璃の 鏡のまえに立つまでは 秘めておきたし あのことも このことも
毎日少しずつ それがなかなか できねんだなあ
ぐちをこぼしたっていいがな 弱音を吐いたっていいがな 人間だもの たまには涙をみせたっていいがな 生きているんだもの
みつをさんの世界NO2
 つまずいたおかげで つまずいたり ころんだりしたおかげで 物事を深く考えるようになりました。 あやまちや失敗を 繰り返したおかげで 少しずつだが人の遣ることを 暖かい目で見ら れるようになりました
何回も追いつめられたおかげで 人間として 自分の弱さとだらしなさを 嫌というほど知りました
だまされたり 裏切られたりした おかげで馬鹿正直で 親切な人間の 暖かさも知りました そして・・・ 身近な人の死に逢うたびに 人の命のはかなさと 今ここに生きている事の 尊さを骨身にしみて 味わいました
人のいのちの尊さを 骨身にしみて 味わったおかげで 人のいのちを ほんとうに大切にする 本物の人間に 裸で逢う事ができました
一人のほんものの人間に めぐり逢えたおかげで それが縁となり 次々に沢山のよい人たちに めぐり逢うことができました だから わたしのまわりにいる 人たちはみんなよい人 ばかりなんです
 のに あんなに世話をしてやったのに ろくなあいさつもしない あんなに親切にしてあげたのに あんなに一生懸命つくしたのに のに・・・のに・・・のに・・・・ のにが出た時は ぐちこっちにのにがつくと むこうは『恩に着せやがって・・・』と思う
庭の水仙が咲き始めました 水仙は人に見せようと思って 咲くわけじゃないんだよなあ ただ咲くだけ ただひたすら・・・・
人が見ようが 見まいが そんなことおかまいなし ただ いのちいっぱいに 自分の花を咲かすだけ 自分の花を・・・・ 花は ただ咲くんです それをとやかく言うのは人間 ただただただ・・・・ それで全部それでおしまい それっきり
人間のように のになんて ぐちはひとつも言わない だから純粋で美しいんです。
花を支える枝枝を支える幹 幹を支える根根はみえねんだなあ
 切り捨てる わたしは長い歳月上にのびることばかり考えてきて 土の中深く根を張ることを忘れていたようです。
ヒョロヒョロと幹ばかり高くのびて雑然と枝葉が ひろがるようになった時幹や枝葉の重みに 耐えられない根の弱さにわたしは初めて気がついたのです
気がついた時には手おくれでした手おくれとわかったとき わたしは思いきって枝葉をおとすことにしました
土の中の私の弱い根と細い幹に支えられるだけの わずかな枝を残してあとはばっさりと切り捨てました
それは根の弱い幹の細い力のない者が なんとか自分を守りながら 生きてゆくための消極的なしかもそれなりに 勇気のいる生活の智慧でした とは言うものの枝葉をおとす時わたしは やっぱりさびしい気がしました もったいないなあと思いました しかしおかげさまでいまでは眼に見えない土の中で 弱った根が新たな活動を始めたようで 枝葉を切り捨てた分だけいやそれいじょうかも だれにもわからない根だけが知る静かな充実感を持ちながら
この世はわたしがわたしになるところ あなたがあなたになるところ』
 トマトとメロン トマトにねえいくら肥料やったってさ〜 メロンにはならねんだなあ トマトとねメロンをねいくら比べたって しょうがねんだなあ
トマトよりメロンのほうが高級だなんて思っているのは 人間だけだねそれもね欲のふかい人間だけだな
トマトもねメロンもね当事者同士は 比べも競走もしてねんだなトマトはトマトのいのちを 精一杯に生きているだけメロンはメロンのいのちを いのちいっぱいに生きているだけ
トマトとメロンをね二つ並べて比べたり 競走させたりしているのはそろばん片手の 人間だけ 当事者にしてみればいいめいわくのこと
『メロンになれメロンになれ!! 金のいっぱいできるメロンになれ!!』 と尻ひっぱたかれてノイローゼになったり やけのやんぱちで暴れたりしているトマトが いっぱいいるんじゃないかなあ
 そっとしておく 余計なことだったかなうん余計なことだったな 頼まれもしないのに勝手に先回りして・・・・・
こっちは親切のつもりでやったことだけれど 当人にとっては余計な おせっかい だったかもそっとしておくことが 一番よかったのに
親切と言うなのおせっかい そっとしておくおもいやり 慈善という名の巧妙な偽善
まだ青い稲の上をわたる 風の行方を見ながら ひとりつぶやくあさでした
 そっとしておいて どうかことばをかけないでください ただそっとしておいてください わたしのことをほんとうに思ってくれるならば どうかもうなんにも言わないでください どうか黙っていてください わたしのことをこころから考えて くれるならば
いまのわたしにはどんなことばもどんな慰めごとも 役には立たないのですことばをかけられると それだけで心の傷が痛むんです
ただそっとしておいてくださいただ黙って遠くから 見ていてくださいいまのわたしにはそれが 一番いいんです一番ありがたいんです
どうかなんにもしないでください ことばをかけないでくださいただ そっとしておいてください
 その人 その人の前にでると 絶対にうそが言えない そういう人を持つといい その人の顔を見ていると 絶対にごまかしが言えない そういう人を持つといい
その人の眼を見ていると 心にもないお世辞や 世間的なお愛想は言えなくなる そういう人を持つといい
その人の眼には どんな巧妙なカラクリも通じない その人の眼に通じるも ただほんとうのことだけ そういう人を持つがいい 人間にはあまりにも うそやごまかしが多いから 一生に一人はごまかしのきかぬ 人を持つがいい 一生に一人でいいそういう人を 持つといい
 負ける練習(自分の子さえよければ) ある母親が息子の就職の事で 私の所へ来ました。 その母親の言い分
我が子にはなるべく 骨を折らせたくない。
我が子には一生安楽な 生活をさせたい。 途中で倒産なんて 不安な思いをさせたくない。
要するに自分の子だけは 楽していっぱいお金を貰って カッコいい生活をさせたい。 この母親の心の底には 『親の苦労は子にさせたくない』 と言う切ない気持ちが有る訳で 一概に否定出来ませんが こう言う母親のエゴが結果的には 子供自身をみんな駄目にしていると 私は断言いたします。
そこで私は世の母親達へ 次の事を訴えます。
楽してカッコよければ幸せかと言う事 逆に骨を折る事は不孝かという事 人間の本当の幸せはいったいなんだと言う事。
私は人間の本当の幸せとは 『充実感の有る行き方』だと思っています。 骨を折らない,努力を必要としない仕事に 充実感は有りません。
ごく普通の順序で行く限り子供は 親亡き後一人で生きて行くという事 親亡き後どんな苦労にぶつかるか分らぬと言う事
子供は将来を生きると言う事。 そして将来の事は何人にも予想がつかぬという事
我が子には苦労させたくないと 母親のエゴでいくら思っても 親亡き後親よりも苦労する事が いっぱい有るかも知れない。
そのように腹を据えて将来を見透かすべきです。 たとえ親よりも苦労する事が有っても 親よりも逞しく親よりも粘り強く 人生を生き抜いてゆく力と 知恵とを子供に与えておくそれが 一番正しい親の愛情であり 義務で有ると私は思います。
 負ける練習 その為にはどうしたらいいか。結論から先に言います。 負ける練習羞じをさらす訓練カッコの悪い体験を 出来るだけ多く子供にさせておく事です。
人間の身体は使った所が強く成ります。 これは至極単純な原理です。 その反対使わない所はどんどん弱く成ります。 現代っ子にとって一番弱い所は何処か? 負けに耐える心羞じに堪える心カッコ悪さに堪える心です。
長い人生には自分の思いが通らぬ場合が沢山有ります。 思う様に成らないのが世の常であり人生です。
それならば人生の的を思う様に成らぬ方に合わせるべきです。 思う様に成らぬそれは言葉を代えれべば負ける事です。
カッコよく勝つ事では有りません。 自分の思う通りカッコよく勝つ事は人生ではごく稀です。 だから人生の的を確立の多い<負ける>に合わせて置く事です。 それが負ける練習です。
小さい時から負ける練習をさせておけば 成人してから負けに強い人間に成れます。 失敗してもへこたれない逞しい人間に成れるはずです。
人生におけるどんな荒波どんな屈辱にも堪えて真っ直ぐに 自分の道を歩いて行けるようなしっかりした 『命の根』を作って置いてやるそれが本当の愛情だと思います。
楽してカッコいい事つまり勝つ事ばかり考えて 過保護に育てられた子供はその分だけ 『命の根』が浅く親亡き後の本人の 負担が大きい事を 知るべきです
 苔のつぶやき わたしには殆んど陽が当らない わたしには杉の木や松の木のように 高くてカッコいい姿にはなれない その代わりどんな風が吹いても 倒れるということがない わたしには初めから倒れるだけの 高さがないから
いいですかいくらのろくてもかまいませんよ たいせつなことはねいつでも前をむいて 自分の足で自分の道を歩くことです
いろいろあるんだな にんげんだもの いろいろあるんだよ いきているんだもん
ある日の自分へ おまえさんないま一体何が一番欲しい あれもこれもじゃだめだよ いのちがけでほしいものをただ一つに 的をしぼって言ってみな
ぐちをこぼしてゆくんだね 涙をこぼしてゆくんだね だれにも気がねはいらぬから えんりょしなくていいですよ ぐちをこぼしてゆくがいい なみだをながしてゆくがいい
いいことはおかげさま わるいことは身から出たさび
樹木は風雪の中に他人に見せたくない 自分のあるがままの裸をさらす ひとことも弁解しないで
うまれかわり死にかわり永遠の過去のいのちを 受けついでいま自分の番を生きている それがあなたのいのちです それがわたしのいのちです。
あとにもさきにもかけがえのない たったひとつのいのちゆえ 明日知れぬはかないいのちゆえ きょうのいのちをしずかにおもう
やりなおしがきかねんだなあ 人生というものは
その場がきなけりゃ わからねえ
土の中の水道管 高いビルの下の下水 大事なものは表にでない
自分の心のどん底が 納得しているかどうか そこが大事
背のびするわたし 卑下するじぶん どっちもいやだな
かえりみる ゆとりなけれど ともかくも いのち生かされて 歩みきし道
どんな仕事でも徹すれば かならず生きられるものです
あなたがそこにただいるだけで その場の空気があかるくなる あなたがそこにただいるだけで みんなのこころがやすらぐ そんなあなたにわたしもなりたい
よくまわっているほど コマはしずかなんだな
どうもがいてもだめなときがある ただ手を合わせる以外には方法がない時がある ほんとうの眼がひらくのはその時だ
はげしく渦巻きさかんに泡立ち しかも少しも濁らない 透明ないのちでありたい 滝壷の水のように
 悔い 感情の高ぶるままに叱りしが あの子もこころきずつきたらむ
欠点まるがかえで信ずる
アノバチコノバチ 思い当たるバチがいっぱい それでもまだ天がわたしを 生かしてくれる
おてんとうさまのひかりを いっぱい吸ったあったかい 座ぶとんのような人
 その時の出逢いが。。。 出逢いそして感動 人間を動かし 人間を変えてゆくものは むずかしい理論や 理屈じゃないんだなぁ 感動が人間を動かし 出逢いが 人間を変えてゆくんだなぁ。。。。。みつお
今ここにだれともくらべられない はだかのにんげん わたしがいます
自己顕示自己嫌悪 わたしの こころのうらおもて
花には人間のようなかけひきがないからいい ただ咲いてただ散ってゆくからいい ただになれない人間のわたし
だれうらやむことはない 身から出たさびだなあ
あなたのこころが きれいだから なんでもきれいに みえるんだなあ
自信はなくて うぬぼればかり ああはずかしい はずかしい
べんかいのうまい人間 あやまりっぷりの いい人間
あの人がゆくんじゃ わたしはゆかない あの人がゆくなら わたしもゆく あの人あの人 わたしはどっちの あの人か?
アノネがんばんなくてもいからさ 具体的に動くことだね
できない約束は しないことだな
きれいな玄関と床の間だけじゃ 生活できねんだよなあ
ひとつひとつ かたずけてゆくんだね 具体的にね
かげくちをいわれることを 知りながら ほめられれば すぐのぼせるわたし
あんなにしてやったのに 『のに』がつくとぐちが出る
どうでもいいものから 捨ててゆくんだね
親切という名のおせっかい そっとしておく おもいやり
そんかとくか人間のものさし うそかまことか佛さまのものさし
浄瑠璃の鏡のまえに立つまでは 秘めておきたし あのことも このことも
あれもこれもほしがるなよ
体験してはじめて 身につくんだなあ
ふるいものを出さなければ あたらしいものは 入らない
一生感動一生燃焼一生不悟